自分の家を不動産業者を通さずに、賃貸契約書を交わすときにやることをお伝えします。
2007年東京都内に持っていた小さなマンションを、当分家族が住む予定がないので、人に貸すことにしました。
そのときは、当然のようにどこかの不動産屋に頼まなければなりません。
このマンションを買ったときの仲介業者が、賃貸管理もやりますと言ったので、お願いすることにしました。
それから一月の賃貸料や保証料を決めました。
この不動産業者の毎月の管理料は、賃貸料の5%ということでした。
マンションを購入したときは、トラブルもなくスムーズにいったし、駅から近い物件だったので、借り手はあるだろうと予想していました。
目次
借りたい希望者が現れるが
しばらくして借りたいと一組の結婚を控えたカップルが希望を出し、連帯保証人も付けますとのことで無事賃貸契約を結ぶことになるはずでした。
ところが、どういうわけかこの業者がいろいろなことを言い出し、契約を急がせるし、言っていることがその都度異なり、借り手ではなく、業者への不信感で、どうにも解決できなくなり、トラブルになるのが嫌だったので、業者には、手を引いてもらうことにしました。
業者は、手を引くことに同意しましたが、そのとき側にいた部屋を借りたいという希望者が、電話に出て、どうしても貸してください、と言い出しました。
しかし、会ったこともないし、これから他の業者を探さなければならないので、一旦白紙にせざるを得ませんと言うと、もう転入届を済ませていて、どうしてもあの部屋が借りたいと必死で頼んでくるのです。
こちらもどうしていいか判らず、2~3日時間をください、何ができるか調べてみるのでと言ってから電話を切りました。
どうしよう、自分で何ができるのだろうか
それからネットでいろいろ調べましたが、上京して不動産業者を探す時間などありませんでした。
その次に考えたのは、個人対個人の賃貸契約にすることでした。
そんなことやったこともないし、考えたこともありませんでした。
都内にあるマンションなので、東京都のホームページを見ると、賃貸住宅契約書の雛形がありました。
それをダウンロードして、読んでみました。
問題になるのは、契約書の中の原状回復に関係する箇所かなと感じました。
役所のガイドラインだと、例えば、和室の畳は、貸す方の負担で、借りる側が汚したり、傷を付けたりしたものを、借り手の費用で補修できないとなっていることが多いです。
日常生活における通常の使い方で、劣化していくのは借り手に請求できないようなニュアンスにとれます。
東京都の電話相談に2回問い合わせ、どういう内容にしたらいいのか、と質問しました。
電話相談で疑問点がはっきりして、なんとか自分で作成できるのかな
すると、雛形はあくまで基本型なので、契約というのは、極端に言えばどんな内容でも、両者が納得すれば、それで良いのです。
基本型にこだわる必要はありません、とアドバイスされ、原状回復の内容もこちらが希望する点を含めました。
あと契約書作成で気をつけた点は、賃貸料の振込期限、保証料の額、借り手の退去申請の期限、貸し手の都合で退去してほしいことを伝える期限、室内の補修範囲等です。
今回の契約に不要な項目は削除しました。
この不要な項目を削除する作業が、賃貸契約書を個人で作成するときの大切なことです。
契約書というのは、小難しい言葉が並んでいるので、素人では作成できないような気になりますが、余計な部分は、カットすればいいのです。
設備の確認表もどこからダウンロードしたか覚えていませんが、印刷し用意しました。
こうして四苦八苦して、契約書と設備確認表を各2部作成し、借り手の人が、再び連絡してきたとき、業者に依頼するのは、時間的物理的に無理なので、個人対個人の契約にします、大体のポイントを説明し、それで良ければ、上京してマンションで契約しましょうと伝えました。
書類はなんとか用意でき、次は契約です。
個人間の賃貸住宅契約書作成のポイント①:
役所の雛形を基に、どういう内容の契約にしたいか、契約内容に明記する。不要な箇所は削除すればいい。
個人間の賃貸住宅契約書作成のポイント②:
トラブルの原因となる原状回復、修繕の範囲を明記する。
個人間の賃貸住宅契約書作成のポイント③:
設備の確認表も用意する。
いよいよ契約へ
さて、契約書と設備表を持って、東京のマンションで待っていたら、若いカップルがやって来ました。
契約書を見せながら、一緒に一項目ずつ確認していき、署名、捺印しました。
保証料は賃料の2ヶ月分を預かることに決めました。
将来また家族の誰かが住む可能性があるので、室内は禁煙という文言も追加しました。
連帯保証人の署名、捺印ももらいました。
その後は設備表と原状の設備を確認し、書き込んでいき、日付と署名をしました。
もし現時点である瑕疵は、貸し手の責任ですから、写真を撮っておくのも一つの方法です。
最後にこのマンションのルールを説明し、例えば自転車置場はあるけど、管理組合に届けて、駐輪代を支払う必要があることや、マンションが自主管理体制を取っているので、ゴミ出し等のルールを守って欲しいことを伝えました。
万一のため、こちらもスペアキーを持っているが、勝手に入ることはしないこと、長期で留守にするときは、連絡してほしいと言っておきました。
急いで転入し入居したかった原因が判明
なんでこんなに急いで転入届をしたのか、もうすぐ月が変わるから来月からでもよかったのに、と彼らに質問しました。
不動産業者に急いで入居しろと言われた、と言いました。
業者は、私達には一言もそんなこと言ってないのに、私達も特別急いでいないので、びっくりでした。
個人間の契約は、トラブルになると言われていますが、トラブルを引き起こしているのは、身勝手な業者でした。
無事契約終了!
契約月は、後数日なので、賃料は日割り計算せず、サービスとしました。
スムーズに契約は終了しました。
自分で作成した契約書が効力を持ち始めた日となり、今後契約通り履行してくれるかどうかでした。
契約後は、借り主は、きちんと賃貸料も遅れることなく振り込んでくれましたし、旅行などで留守にするときは、メールで知らせてくれました。
個人対個人の契約で何もトラブルは、発生しませんでした。
意外な理由で退居、契約終了へ
ですが、2年余り経った頃、退居したいと伝えてきました。
彼らは、未入籍のまま別れることになり、それぞれが別の部屋に転居することになったそうです。
今度は退居の立会いに行かなければなりませんでした。
私は、病気で動けなかったので、夫と息子が立会いました。
設備の確認は、近くの不動産屋さんが、無償で立ち会って、アドバイスしてくれました。
借り手が負担する補修部分をリフォーム業者に補修してもらい、預かった保証金から支払い、結局使ったのは3割程度で、残りの7割を借り手に返金しました。
家の中の設備の確認に一生懸命で、駐輪場の自転車までチェックするのを忘れていたのでした。
彼らも破局で気が回らなかったのか、私が気がついたのは、1年後でした。
電話をして取りに越させました。
この2年余りの賃貸契約は、まあまあ上手くいったのではないかなと思っています。
私達のケースのように、業者が入ってから、トラブルになる場合もあります。
世間では、所有している物件を貸して、家賃収入で生活している大家さんは、たくさんおられます。
今回自分で賃貸住宅契約をやってみて、なんとかできるとは思いましたが、それはお互いが常識的な範囲でお互いの義務を履行するのが前提であって、後々豹変するようなわがままな人に当たると、トラブルになってしまうと考えます。
トラブルにならないような契約にしなければなりません。
個人間の賃貸住宅契約時のポイント①:
契約書の一項目毎を一緒に理解し、納得する上で、署名・捺印する。
個人間の賃貸住宅契約時のポイント②:
設備の点検も一緒に確認して、記録に残す。必要があれば写真を撮影しておく。
個人間の賃貸住宅契約後のポイント①:
双方が常識を持って、契約内容を履行する。
ここまで読んでいただきありがとうございます。